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布のゆがみを取ろう! 地直し・水通し

洋裁の本とかを見ると使う前に地直しをしなさいって書いてあるけど具体的にどうなの?

綿麻は必ず水につけよう!

実際これくらい縮む物もあるよ


洋裁教室で生徒さんが1mに切って水通ししたもの。


4.5cm縮んでますね。
生地によってはもっと縮む物もあります。

日本の検査基準でも形状変化率は1~3%が許容値だそうです。

日本繊維検査協会 綿麻織物品質基準

1mだと1~3cm縮むのは許容範囲という事になります。
ブラウスなら誤差範囲かもしれませんがスカートやワンピースだとくるぶし丈で作った物が3cm短くなるとちょっとイメージが変わってきますよね。

斜めにゆがみながら縮む物もあります。

生地は通常縦横の糸を織って布にしています。

その布があなたの所にやってくるまでにいろんな原因でまっすぐだった繊維がゆがんでしまうことがあります。

その歪みを布を切る前に出来るだけまっすぐに整え、出来上がった後縮まないよう、あらかじめ下処理をすることを地直しといいます。

昔に比べ生地の品質は良くなったと聞くのに地直しの仕方を調べると、昔と変わらず同じ方法がかかれています。
実際どうなんでしょう?

今の日本の生地は出荷前に、水通ししなくていいように加工をしてから出しているので、ほとんど地直しはしなくていいといわれています。

写真は2015年播州産地に工場見学で行った時撮影させていただいた、生地の仕上げの処理の機械です。

お店にある生地全てが防縮加工されているわけではない

お店によっては古い生地海外製の縮み加工をしていない生地も扱っている場合があります。
そのような生地は地直しをした方がいいのですが、お店で買うときにそれが日本製なのか海外製なのかわからなかったり、そんなところを注意して買わないことが多いですよね。

目の粗い生地は縮みが大きい!

目の荒い綿生地やガーゼなどの生地はかなり大きくゆがむことがあります
両端で5cmくらい斜めになっている生地もあります。

なので綿麻だけは水につけて縮ませる、地直ししてゆがみを取ると覚えていいと思います。

具体的にどうしたらいいの?

水で縮むのは天然素材の綿、麻です。
ポリエステルなどの化学繊維は水では縮まないので水通しは不要です。
また絹やアセテートなどは水で光沢がなくなったりするので、これらも水通しは不要です。
ウールは水ではなく摩擦でちぢむので、ウールも水通しは不要です

生地に余裕がある場合


綿麻の生地を10cm×10cmに切る。


水につけた後、軽く絞ってアイロンをかける。


そしてどのくらい縮むか ものさしで測る。
この時カットした生地がアイロンをかけた後にゆがんでいたり縮んでいたら、地直しをした方がよい。

綿・麻素材の生地の地直しの仕方

布の横糸(耳/ほつれない辺がたて糸)を引き抜いてできる線を基準に縦横が直角に交わるように調整します

ワンピース等丈の長いものは、型紙より生地を2~4cmほど大きく切ってから水通しすると後の作業が楽になります。
3~5mつながった生地を水通しして干すのは大変でしょう?

実際に地直しをしてみよう

 → 
端がボロボロほつれてくるような、生地は洗濯ネットを用意する。

横糸を抜いたら生地を綺麗にたたんで洗濯ネットに入れる。
そんなにほつれない生地は入れなくても大丈夫。



容器に水を入れます。やさしくネットに入れたまま水につけて、中まで水をしみ込ませる。

生地の量が多い場合、内側の折り目のところに水がしみこみにくいので30分したらたたんだ時の内側が外に出るようにたたみなおしてから、もう30分水に浸ける。



洗濯機の脱水機を使う場合は、ネットに入れたまま入れる。

中がグシャグシャにならないよう洗濯機に入れて15秒程度脱水する。


縦横を整えながらアイロンをかける。
このときアイロンは斜め方向にすべらせない。


アイロンを斜め方向に滑らせると生地が伸びて表面が波打ったりふくらんだりします。

※ネットに入れず洗濯機で水を通し、脱水→乾燥機とすると摩擦と熱と時間でかえって歪みがひどくなることがある。
洗濯機は脱水(ネット使用)で短時間の利用にとどめる。

絹の地直しの仕方

絹は水にぬれると膨張して、いったん膨張すると元に戻らないそうです。
そのため水は大敵。スチームもさけてね。

ただし洗濯できるシルク生地も存在するよ。
洗濯できるシルクはそれが特徴だから洗濯できると銘打っているので、そういう説明のないシルクは水は大敵だよ


手で歪みをなおしてスチームを使わずアイロンでしわをとる。

実際整えてもなかなか歪みが直らない生地もあります……。

生地によっては最初からかなりの歪みがあったりします。
機械の力や長い時間かけてゆがんだものなどは、実際は手で引っ張ったところでまっすぐならない生地も多いです。
一通り地直ししても縦横が垂直にならない場合は、洗濯してもそれ以上ゆがんだりしません。
その生地にとってはゆがんだ状態が生地が一番安定した状態なのです。

だから頑固な歪みを無理やり整えても、逆にゆがんだ状態に戻ろうとするので、一時的に無理やり引っ張って縦横を垂直にして裁断しても、安定した状態に戻ろうとして、ゆがんでしまうこともあるんですよ。

そういう時はそのまま使っても大丈夫です。

プリント生地等は織り目がゆがんだ状態で印刷されているものもあります

矢印のところの白い筋が横糸を抜いた横糸の線です。

このように大きくゆがんだものもある。
布の目に合わせると模様が斜めになるので、こういう場合は柄のほうが目立つので、柄に合わせて切る。

干し方

洋裁本には水通ししたら平干しって書いてありますよね。
綿麻は濡れた時に形がリセットされて、乾く時にその時の形で固まる性質があるんです。
つまりたるんで干すと、たるんだ形で固まるんです。
物干しざおにかけて干すと折り曲げた形で固定されてしまうことがあります。
だから平干しなんですね

ウールの地直しの仕方

ウールが縮むのは水で縮むのではなく、摩擦によって縮んでいく性質があります。
なので水にひたす必要はありません。

ウールを実際に地直しをしてみよう

アイロンのスチームを使う方法

アイロンを温度を中に設定する。

ウールは湿気で元に戻ろうとする性質があるのでスチームの設定にする。
アイロンは1cmほど浮かせて、じかにかけないようにする。
直接アイロンをかけると表面がつぶれて変なテカリが出たりします。

霧吹きを使う方法


まんべんなく生地に霧吹きをする。
そして袋に入れて1時間ほど放置しておくと湿気が繊維の奥まで届くので、裏からアイロンをかける。
こちらの方がムラになりにくいです。
この時も型崩れしないようにアイロンをすべらせず、持ち上げて移動させてください。

ニットの地直し

ニットも水につけることで縮むことがあります。
水につけて脱水して陰干し(直射日光に当たらないところで)平干し(つるさずに何かの上に置いて広げて乾かす)する。
アイロンを直接かけるとゆがみます。
必ずハンカチや不要になった薄い生地を間にはさんで、直接アイロンをかけないようにする。
アイロンはスチームを使わずにかける。

ニットは編んであるので、織物のように横糸は引き抜けません。
編み目を見てできるだけ縦横が直角になるように生地を整えてから型紙を置いて切る。

化繊は水通しは不要です

化繊は水で縮んだりしないので水通しはしなくて良いです。
アイロンをかける時高音だと変色したり縮むことがあるので、アイロンは中温で掛けてください。
ナイロンが含まれる生地の場合は低温で。
分からない場合は、はぎれにアイロンをかけて確認するといいと思います。
ナイロン混紡の生地で作った物を完成の仕上げでアイロンをかけたら縮んだ!!となったら切ないですよね!

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